監修: 藤田医科大学医学部 精神神経科学講座 教授
岩田 仲生 先生

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患者さん本人への支援のポイント

監修:池淵 恵美 先生
(学校法人帝京大学 帝京大学医学部 精神神経科学 客員教授)

統合失調症は、適切な治療をすればきちんとコントロールができる病気です。

ご家族や周囲の方は、統合失調症について正しく理解し、患者さんに寄り添いながら、上手にこの病気とつき合っていくことが大切です。

患者さん本人にとって、いちばんの支援者はご家族の皆様です。適切な励ましや手助けが、回復への大きな力になります。統合失調症そのものへの理解だけでなく、病気のために生じる患者さんの心理や行動、生活のしづらさに共感し、寄り添ってあげてください。

患者さん本人が統合失調症治療を進めていくうえで、ご家族ができる支援のポイントについて紹介します。

  1. 支援のポイント①病気について正しい知識をもちましょう

    統合失調症とはどのような病気か、その症状や治療法、治療経過について、身近なご家族が正しい知識を持つことが、患者さん本人の大きな支えになります。そして、「育て方が悪くて病気になった」という、誤った世間の風評に惑わされないでください。

  2. 支援のポイント②患者さん本人のつらい状態を理解しましょう

    統合失調症の症状で苦しんでいるのは何より患者さん本人です。ご家族は、本人が辛いと感じているその感覚を理解し、寄り添ってあげましょう。

  3. 支援のポイント③お薬による治療を継続的にサポートしましょう

    薬剤の効果を期待するためには、毎日の服用を継続することが大切です。薬剤には飲み薬や貼り薬、注射があります。ご家族の方は、患者さんが服用(使用)を忘れないようサポートをしてあげましょう。また、注射剤を使用している場合は通院日を忘れないようリマインドするなど通院が継続できるような工夫をしてみましょう。だんだん本人が服薬になれてきたら、本人に任せていくことも大事です。本人の病気、本人の薬なのですから。また、患者さん本人の判断で服用(使用)や通院をやめてしまうことがないよう、お薬による治療のことで何か希望や心配や疑問がある場合は必ず医師に相談するように促しましょう。

  4. 支援のポイント④治療が続けられるよう、励ましましょう

    治療がうまく進まない時でも、焦ったり、がっかりしたりしないで、相手の話をよく聞き、本人の気持ちに寄り添った言葉をかけましょう。ただし、不用意な叱咤激励は逆効果になることもあるので注意が必要です。

    良い言葉の例:

    「(薬を飲まない理由を)話してくれてありがとう」「あなたの笑顔が増えてうれしいな」「(体がダルそうな様子を見て)今日は辛かったね」

    悪い言葉の例:

    「もっと、がんばれるでしょ」「怠けちゃだめだよ」「そんなこともできないと、将来大変だよ」

  5. 支援のポイント⑤あせらず、ゆっくり見守りましょう

    病気になる前に、当たり前にできていたことがうまくいかなくなってしまうと、本人だけでなく、ご家族も喪失感を感じることがあるかもしれませんが、統合失調症は適切に治療すればコントロールすることができますので、決して焦らずに、現在の患者さん本人をありのままに受け入れ、ゆっくり見守っていきましょう。

    毎日の生活の中で困りごとが生じた場合でも、患者さん本人の行動にはご自身の理由があるので、本人の価値観や考えを尊重した上で、話しあいをしながら、一緒に対応方法を考えてみるようにすることが大切です。小さなことでもいいので、何か良い部分があったら、ほめてあげてください。

  6. 支援のポイント⑥「本人のやりたいこと」をサポートしていきましょう

    統合失調症の治療は、短期的には患者さん本人の症状を抑え、生活が円滑にできるようになることですが、中長期的な視点を持ち、「本人がやりたいことができる」ようにサポートをすることも重要になってきます。

    「将来への希望が持てる」「人生/生活の意義が見出せる」「自分らしく主体的に生きる」「他者と適切に関われる」これらはパーソナル・リカバリーと呼ばれ1)、治療を進めていく上でのゴールのひとつです。目の前の治療だけでなく、患者さん本人と将来のことについて対話をし、少し先の未来を視野に入れながら、焦らずに時間をかけてサポートしていきましょう。

  1. 山口創生ほか: 精神保健研究. 2016, 62: 15-20
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