生活で 必要な スキルを 身につける 治療・訓練
統合失調症のリハビリテーションプログラムとしては、社会・生活技能の回復を図るソーシャルスキル・トレーニング、実際の軽作業やレクリエーションなどを通じて職業的技能を養ったり、生きがいや楽しみを見出したりするための作業療法が代表的です。
ソーシャルスキル・トレーニング(SST)1, 2)

ソーシャルスキル・トレーニング(SST)は、病気によって低下した社会技能や生活技能を回復するための援助技法で、一般的にグループによるロールプレイ(それぞれの人に役割を与えて演技する)形式で行われます。
社会参加に際して、重要になるのは人とのかかわりです。しかし、統合失調症になると対人関係に自信を無くす、コミュニケーションの機会が限られ経験が積めない、といった問題が出てきます。
そこで、患者さんと医療スタッフが職場や買い物の場面などを想定したロールプレイを行い、苦手なことを克服していきます。
SSTはグループで楽しく行う訓練です。
作業療法1-3)

作業療法は薬物療法の前からあり、古い歴史をもつ治療です。作業療法士の指導の下に手芸や園芸、料理、木工、パソコン作業などの軽作業を通じて、楽しみや充実感、達成感などを再体験し、日常生活技能や社会生活技能の回復を目指します。
作業療法も、楽しみながらできると効果的です。
「つまらない」と感じるようでしたら、医師や作業療法士に相談してみましょう。
認知機能へのアプローチ1, 2)

統合失調症では、認知機能(記憶力、集中力、計画能力、実行力など)が低下します(認知機能障害)。認知機能を改善するため、パソコンの専用ソフトを使った治療があります。
ゲーム形式で、楽しくできるよう工夫されたプログラムもあります。
また、認知のゆがみ(極端な考え方など)を修正する認知行動療法も行われることがあります。
- 参考文献
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- 丹羽真一編: やさしい統合失調症の自己管理 改訂版. 医薬ジャーナル社, 大阪, 2013, pp. 65-72
- 白石弘巳監修: 患者のための最新医学 統合失調症 正しい理解とケア. 高橋書店, 東京, 2015, pp. 118-129
- 尾崎紀夫ほか編: 標準精神医学 第8版. 医学書院, 東京, 2021, pp. 294-295