統合失調症ナビ

監修: 藤田医科大学医学部 精神神経科学講座 教授
岩田 仲生 先生

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患者さん・家族の心理教育

患者さんやその家族・周囲の人にとって、統合失調症は理解して受け入れるのがとても難しい病気です。そこで、統合失調症の症状や原因、薬物療法、心理社会的療法などの知識を伝える「心理教育」がおこなわれます。

心理教育は、統合失調症に対する理解を深め、治療法や対処方法を学んでもらい、前向きな気持ちで生活できるように促すのが目的です。

患者さん向け

患者さんへの心理教育は、状況・病期に応じた配慮が大切になるため、患者さんそれぞれで受ける内容や順番が変わります。一般的な内容は以下になります。

  • 統合失調症の原因・症状・経過
  • 統合失調症の症状による生活への支障
  • 治療法(薬物療法、心理社会的療法)
  • 受けられる障害福祉サービスなど(社会資源と呼ばれます)

心理教育を受けることにより、知識の向上、治療アドヒアランスの向上、陰性症状の改善などが期待できます。

家族・周囲の人向け

家族・周囲の人への心理教育は医師などの専門家との面接形式、または複数の家族・周囲の人が集まる教室形式などがあります。なお、患者さんの状況・病期に応じて内容が変わるのは、患者さんと変わりません。

面接形式では、知りたい情報について専門家に質問しましょう。また、話し合いの中で「今すべきこと」を明らかにすると、先々の展望が開けます。

教室形式は「(外来での説明だけではなく)ゆっくり時間をとって病気のことを勉強したい」という家族・周囲の人向けです。面接とは違い、専門家の話を複数の人々と聞くので安心して話が聞けるのがメリットです。集まった人たちでグループワークをおこなうこともあり、体験の共有をしたりほかの参加者との会話のなかで問題解決の機会を得られたりすることもあります。

統合失調症のケアで、家族や周囲の人の多くは少なからず苦労を抱えていると思います。その負担を少しでも軽くするため、心理教育を有効に活用ください。

参考文献
  • 統合失調症の治療およびリハビリテーションのガイドライン作成とその実証的研究班(主任研究者:浦田重治郎): 心理教育を中心とした心理社会的援助プログラムガイドライン. 厚生労働省精神・神経疾患研究委託費, 2004年1月, pp. 7, 11, 13, 14, 17, 21
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