感情表現が 乏しくなったり、
意欲が低下したりする 「陰性症状」 とは?1, 2)
陰性症状の「陰性」とは「本来あるはずのものがない」という意味で、症状としては感情の平板化や意欲の減退、集中力・持続力の低下などがあります。
多くは急性期の陽性症状がおさまったあと、休息期にみられる症状です。
<感情の平板化(感情鈍麻)>喜怒哀楽の表現がうまくできなくなる
単なる気分の高揚や落ち込みとは異なり、感情そのものの動きが鈍くなり、起伏も乏しくなります。
感情のあらわし方がわからなくなり、喜怒哀楽の表現がうまくできなくなります。
<意欲の減退>意欲や気力が低下する
仕事や家事、勉強などへの意欲や気力がわかず、取り組むことができなくなります。
周りのことに興味や関心を示さなくなり、入浴や洗面、着替えなど、身だしなみを整えることにも無頓着になります。
<集中力・持続力の低下>何かに手をつけても続けることができない
集中力が低下し、何かに手をつけても続けることができなくなります。
同時に複数のことをおこなうことが困難になり、疲れやすくなります。
<対人コミュニケーションの支障>人とのかかわりが減り、引きこもりがちになる
他人とのかかわりを避け、自室に引きこもりがちになります。
1日中、何をすることもなくぼんやりと過ごし、社会性が低下します。
陰性症状は症状として認識されにくく、周りの人から「なまけている」「やる気の問題」「努力が足りない」などと誤解されがちです。症状の1つであることを、周りの人が理解することが大切です。
- 参考文献
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- 白石弘巳監修: 患者のための最新医学 統合失調症 正しい理解とケア. 高橋書店, 東京, 2015, pp. 40-41
- 糸川昌成監修: 健康ライブラリー イラスト版 統合失調症スペクトラムがよくわかる本. 講談社, 東京, 2018, pp. 20-21