ヤンセンは、統合失調症をはじめとする”こころの病”を抱える方々の社会参画を後押しする「HEART PROJECT」の一環としてプロサッカーチームと協業し、スポーツを通してノーマライゼーションの実現を目指す活動を進めています。2020年には東京ヴェルディと「ともに未来へ GREEN HEART PROJECT」を、2021年には清水エスパルスと「オレンジの鼓動をつなげよう ORANGE HEART PROJECT」を開催しました。
イベントでは患者さんも関係者も全員が同じ色のTシャツを着用。誰がどの立場なのかわからないフラットな状態で、スポーツ教室や就労体験、試合観戦を楽しみました。みんなで協力しながらお互いの感情を共有できる貴重な時間となりました。
<2022年8月20日イベントレポ―ト>
ピアサポーターが体感する
Orange Heart Project
写真提供:清水エスパルス
Orange Heart Projectは、ノーマライゼーション社会の実現に向け、様々な事情からこころの病と向き合う方々をスポーツの力でサポートするイベントです。
清水エスパルスのホームゲームにてスポーツ教室・ボランティア体験・試合観戦を行い、参加者同士の交流や非日常体験から、参加者の就労や社会復帰に向けた「次の一歩」につなげていただくことを目的に2021年より実施しています。
- 大喜田 聡 様
- 株式会社MARS
相談支援事業所ファーレ
- 介護福祉士/相談支援専門員
千葉県ピアサポート専門員
- ピアサポーターのお立場からこのOrange Heart Projectにご参加いただきどのような感想を持ちましたか?
- Orange Heart Projectは、非常に楽しく新鮮な感じがしました。普段は、ピアサポーターとして仕事する領域ではない、スポーツ関係のイベントへの参加でしたので、新鮮でした。とても楽しく参加できました。当事者もスタッフも一緒になって、ボールを追いかけることをして、一つの目標に対して一緒に協力するというのはとても楽しいものだなと感じました。
- Orange Heart Projectのスポーツ体験は当事者にとってどのような経験になりますか?
- スポーツ体験は、日頃、運動してない人にも良いし、プロが使うグラウンドでサッカー体験ができるのは、すごく貴重な経験だと思いました。当事者になると当事者でくくられて健常者とスポーツをすることも少ないかもしれないので、一緒にスポーツができるというのは、良い経験かなと思います。
- ボランティア体験は当事者にとってどのような経験になりますか?
- ボランティア体験は、当事者にとって社会に触れる良い機会だと思いました。スタジアムの裏側、働く側の立場に立つことで、どのように試合までに人が関わって働いているかがよくわかる経験でした。チラシ配りだけでも、コツがあったりするし、声を出して「よろしくお願いします」と言うだけで、サッカーの試合を作る一員のような気分にもなれたので、すごく貴重な経験でした。一体感を感じられて良かったです。
- 統合失調症を抱える当事者の方にとって「就労」するということにはどのような苦労がありますか?
- 「就労」する苦労は、健常者でもそうですが、体調管理、健康管理、時間管理、服薬管理などだと思います。健康については、食事など栄養に気を付ける必要があります。あとは、運動も必要です。統合失調症を抱える当事者が健常者と違うところは、体力がないことだったり、話が飛躍してしまうことだったり、妄想の話をしてしまうことだったり、いくつかあると思うのですが、負担が少なく、継続しやすいお薬の選択肢も増えており、ひと昔前よりは、「就労」にチャレンジする機会も多くなってきたと思います。
- また「就労」にチャレンジするまでにどんな苦労がありますか?
- 「就労」にチャレンジするまでには、チャレンジするということを決めること、決断すること自体にたどり着くまでが大変です。例えば、家から出ることが困難だったとき、テレビやインターネットのニュースで頭でっかちになってしまい空回り、なんてことはよくありました。いくつの仕事をやってみようと思ってはやめて、を繰り返したでしょうか。行動を起こすこと自体が当事者にとっては大変なことだと思います。その時の自分にできることしかできないので、高望みせずにコツコツと一つずつできることを増やしていくことが大事です。
- 障害者総合支援法における就労系障害福祉サービスiには、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型、就労定着支援のサービスがありますが、就労に向けてどのようなサポートが必要でしょうか?
- 就労へ向けてのサポートは、福祉サービスで言えば、就労移行支援や就労継続支援があります。チャレンジするための自信をつけるお手伝いかとも思います。自信を持って世に出て行っても、きっと自信を失うこともあるけれど、そんなときは、仲間のサポート、ピアサポートが大事だと思います。当事者同士の助け合いが大事なのだと思います。もちろん、医師や支援者からの支援も必要です。就労が全てではないですが、自分は、就労することで自分のアイデンティティを確立してきたので、多くの人に助けられてきたと思っています。
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