エドワルド・ムンク(1863‐1944)

イラスト:エドワルド・ムンク

19世紀から20世紀のノルウェー出身の画家エドワルド・ムンク。彼の代表作といえば誰もがいちばんに思い浮かべるのが『叫び』でしょう。
『叫び』には、赤く染まったフィヨルドの夕景と不気味な形、橋の上には叫びにたえかねて耳を両手でふさいでいる男が描かれています。その男こそ、ムンク自身だといわれています。
ムンクは、「太陽が沈みかかっている夕刻にフィヨルド沿いの路を歩いていると、自然を貫く大きな叫び声が果てしなく続くのを聞いた」と記しています。
ムンクがこの作品を描いたのは1893年で、その10年後あたりからはっきりとした精神症状をきたすようになり、精神科医のもとで療養生活を送ります。精神症状は被害妄想が中心で、ムンクが統合失調症にかかっていたことはほとんど間違いないとされています。
『叫び』が描かれた時期と精神症状が認められた時期にはずれがありますが、『叫び』に表現されたおどろおどろしさや破局的な描写は幻覚体験をよく表していることから、おそらくこの絵を描いた頃からすでに統合失調症の症状が現れていたのではないかと推測されています。

出典

  • 宮本 忠雄著:病跡研究大成─創造と表現の精神病理.金剛出版,P165〜179
  • 原田 誠一著:正体不明の声,アルタ出版