4つの 病期の 特徴
それぞれの病期の特徴を紹介します。
<前兆期>発症の前触れのサインが現れる1, 2)
発症の前触れのような変化がみられることがあります。
- 眠れなくなる
- 物音などに敏感になる(聴覚過敏)
- あせりの気持ちや不安感が強くなる
などが目立つようになります。ただし、これらは誰もがよく経験することです。
そのため、本人も周りの人も気づかないケースが多くあります。
<急性期>幻覚や妄想などの陽性症状が目立つ1-3)
前兆期に続いて現れるのが急性期です。特に、統合失調症特有の陽性症状が目立つようになります。期間は、1ヵ月~数ヵ月程度とされています。
- 現実にないものがあるように感じる(幻覚:幻聴が多い)
- ありえないことを信じる(妄想)
- 自分と他人の境界があいまいになる(自我障害)
- 感情が不安定になり、身体の消耗もみられる
幻覚や妄想に襲われて頭の中が混乱し、周囲とのコミュニケーションがうまくとれなくなることもあります。
<休息期>感情の平板化や意欲の低下がみられる1-3)
嵐のような急性期が過ぎると、休息期に入ります。この時期は陰性症状が中心です。
- 感情の起伏がとぼしくなり、無気力で何もしなくなる
- いつも寝ていたり、引きこもったりする
ちょっとした刺激が誘因となって、急性期に逆戻りしやすい時期でもあります。
<回復期>徐々に症状が治まるが、認知機能障害が現れることも1)
症状が徐々に治まり、無気力な状態から脱していきます。期間は数ヵ月〜数年単位とされています。ただし、この時期には認知機能障害が目立つことがあります。
- 記憶力や注意力が落ちる
- 計画を立てること、効率よく物事をこなすことが難しくなる
認知機能が下がると、その後の生活上の障害や社会性の低下へとつながっていく場合があります。
- 参考文献
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- 白石弘巳監修: 患者のための最新医学 統合失調症 正しい理解とケア. 高橋書店, 東京, 2015, pp. 18-47, 56-57
- 丹羽真一編: インフォームドコンセントのための図説シリーズ 統合失調症. 医薬ジャーナル社, 大阪, 2014, pp. 12, 22
- 尾崎紀夫ほか編: 標準精神医学 第8版. 医学書院, 東京, 2021, pp. 284-287