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ノルウェーの画家エドワルド・ムンクの代表作といえば『叫び』です。耳を両手でふさぎながら強烈な苦悩・恐怖・孤独を陰鬱かつ不気味なタッチで描いたそのモチーフはムンクの実体験に基づいているとされ、ムンク自ら「太陽が沈みかかっている夕刻にフィヨルド沿いの路を歩いていると、『自然を貫く大きな叫び声が果てしなく続くのを聞いた』と記しています。ムンクがこの作品を描いたのは1893年ですが、その10年後あたりからはっきりとした精神病症状をきたすようになり、精神病院での治療を受けています。精神病症状は迫害妄想が中心で、ムンクが統合失調症に罹っていたことはほとんど間違いないとされています。『叫び』が描かれた時期と精神病症状が認められた時期にずれがありますが、『叫び』に表現されたおどろおどろしい視覚的変容と破局的な描写は幻覚体験をよく表していることから、おそらくこの作品を描いているころからムンクに統合失調症の症状が現れていたのではないかと考えられています。
出典:
宮本 忠雄著:病跡研究集成−創造と表現の精神病理.金剛出版,P165〜179
原田 誠一著:正体不明の声.アルタ出版
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