統合失調症ナビ

監修: 藤田医科大学医学部 精神神経科学講座 教授
岩田 仲生 先生

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抗精神病薬のメカニズムと特徴1, 2)

抗精神病薬のメカニズムと特徴を紹介します。ポイントはドパミンの神経回路・働きです。

脳内のドパミン経路1, 2)

尾崎紀夫ほか編: 標準精神医学 第8版. 医学書院, 東京, 2021, pp. 293-294
樋口輝彦ほか監修, 神庭重信ほか編: 臨床精神薬理ハンドブック 第2版, 医学書院, 東京, 2009, pp. 126-128より作成

抗精神病薬のなかには、ドパミンの働きを抑える作用をもつものがあります。中脳辺縁系(図のⒶ)に作用することで陽性症状の改善が得られます。

一方、ドパミンの機能が低下している中脳皮質系(図のⒷ)にも作用することから、さらにドパミンの機能を低下させ、陰性症状を強めたり認知機能の障害を引き起こしたりすることがあります。

また、黒質線条体系(図のⒸ)にも作用することで手足がふるえるなどの錐体外路症状と呼ばれる運動機能障害が、さらにホルモンの分泌に関係する漏斗下垂体系(図のⒹ)に作用することで乳汁分泌や月経障害、性機能障害などの副作用が現れることもあります。

そのほかにも、ドパミンだけでなくセロトニンやその他の神経伝達物質へ作用するメカニズムをもつ抗精神病薬があります。ドパミンの働きに関連した陽性症状への効果に加え、錐体外路症状などの副作用の抑制効果、陰性症状や認知機能障害への効果を示すこともあります。

参考文献
  1. 尾崎紀夫ほか編: 標準精神医学 第8版. 医学書院, 東京, 2021, pp. 280-281, 293-294
  2. 樋口輝彦ほか監修, 神庭重信ほか編: 臨床精神薬理ハンドブック 第2版, 医学書院, 東京, 2009, pp. 123-128, 132-135
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