治療継続の重要性

統合失調症のあなたに: 〜 アドヒアランスを理解する 〜

イラスト:患者さんとお医者さんが手を握り合っている様子

自分自身が積極的に治療に参加する姿勢は「アドヒアランス」と呼ばれ、統合失調症治療において大きな鍵を握っています。
統合失調症は、薬物療法で症状をコントロールしながら長期に渡る治療を必要とします。その為、お医者さんの指示通りに薬を飲むことが重要ですが、それだけでは十分ではありません。長期的な治療のなかで大切なことは、自分自身が病気を理解して治療に取り組んでいく姿勢です。自ら治療していこうという意志がなければ、本当の回復はなかなか得られないからです。アドヒアランスが高まると、微妙な症状の変化や副作用の出現などの大切な情報が正確に伝わるようになるため、あなたも治療チームの一員として適切に治療に参加することができるようになります。また、統合失調症への理解が深まることで、薬を飲む意味も理解され、治療に欠かせない大切なお薬の飲み残しを防ぐことができます。
これは薬の服用に限った話ではなく、治療全般にもいえることです。統合失調症の治療では、生活技能訓練などのリハビリテーションを並行して実施しますが、治療意欲がなければこうしたリハビリにも身が入りません。日常生活の1つひとつが治療につながっていく統合失調症の治療においては、治療意欲こそが回復を促す最も重要な要素になります。
お医者さんが一方的に治療を行うのではなく、あなたが主役となって治療を進めていくことで、初めて治療の成功率を高めることができます。わからないことなどがある場合にはお医者さんや薬剤師に相談し、積極的に治療に参加していきましょう。

症状が安定していても注意が必要です

統合失調症は、幻覚や幻聴などの症状が取れて落ち着いてみえても、ストレスなどのちょっとした刺激によって再発しやすい病気です。その為、服薬による治療の継続がとても重要となります。
症状の安定について考えてみましょう。症状の安定には「本当の安定」と「不安定な安定」の2つがあります。下の図のように、薬を飲んでいない状態で症状が安定しているというのは、山の頂に球がある「不安定な安定」にあたり、ストレスが加わって病状が左右に揺れた時に安定状態に戻ろうとする力は働かないため、いずれ再発してしまいます。

『本当の安定』と『不安定な安定』

図:『本当の安定』と『不安定な安定』

統合失調症の薬は、「不安定な安定」を「本当の安定」に変えるために必要なものです。ストレスが加わっても、安定した状態に戻れるようにサポートする力を持っています。服薬を継続し、本当の安定を維持できるようにしましょう。

服薬を継続すると再発リスクが低くなります

統合失調症は「勝手に服薬を中断すると2年以内に80%以上が再発する」とされており、極めて再発しやすい病気です。統合失調症についての理解を深め、継続的な服薬を心がけましょう。

長期に渡り服薬を継続することは難しいことですが、服薬の中断はよい影響を与えないことがわかっています。服薬をつづけていると再発するリスクを低く抑えることができます。また、再発してしまったときの症状も、薬を飲んでいなかったときに比べて、より軽くてすむといわれています。
また、統合失調症では脳にダメージを受けてしまうことがありますが、再発を繰り返すほどダメージを受けやすいことも報告されています。
再発予防の為には、やはり服薬の継続が基本となります。継続して服薬した場合と、服薬を中断してしまった場合とを比較すると、再発率は1/5にまで低下します。

薬を飲み続けることによる再発の低下

図:薬を飲み続けることによる再発の低下

引用:Robinson D et al. Arch Gen Psychiatry 1999より作成

服薬を継続するためのポイントを理解しましょう

統合失調症を治療するためには、服薬を継続することが重要です。以下のポイントを参考にし、お医者さんと相談しながら前向きに治療に取り組みましょう。
(参照:抗精神病薬のさまざまな剤形

適した剤形を選択

統合失調症の薬には色々な剤形があります。薬が飲みにくいために飲み残してしまっている場合には、お医者さんに相談して自分に合った剤形を選びましょう。

副作用を知る

イラスト:診療室でお医者さんと向き合い相談している患者さん

薬を飲み残してしまう理由の1つに副作用があります。まず、薬の副作用について知っておきましょう。そして、どのような症状があったかをお医者さんと相談してください。あなたの症状に応じて、薬の量を減らしたり、副作用の少ない薬を選択したり、副作用を改善する薬を併用するなど、あなたにとって不快な症状を取り去るようにします。
(参照:抗精神病薬と併用される薬

日常生活の注意点

イラスト:散歩中にご近所の方に笑顔で挨拶をしている患者さん

病気によって低下した生活・社会機能を回復するためには、生活技能訓練などのリハビリテーションが欠かせません。病院の中だけではなく、日常生活の小さな行為の積み重ねがリハビリにつながります。自分でできることはできる限り自分で積極的に行いましょう。