認知症は、その原因疾患から、下記の3つに分けられます。
血管性認知症と二次性認知症の場合はそれぞれの原因疾患のために引き起こされることは明らかであるのに対して、変性性認知症の原因はまだよくわかっていません。
アルツハイマー病では、神経細胞の変性・脱落とアセチルコリン神経系における機能低下がみられます。
アルツハイマー病の人の脳では、神経細胞の死滅によって脳が広範囲に萎縮しているとともに、死滅した神経細胞において糸くず状の異常な蓄積物がみられること(神経原線維変化)、および異常なたんぱくが沈着したシミ(老人斑)がみられることが知られています。神経原線維変化は正常脳に存在するタウ蛋白がねじれをもった線維を形成して神経細胞内にたまったもので、老人斑はやはり正常脳に存在するβ(ベータ)蛋白がアミロイドとよばれる細い線維を形成して細胞の外に沈着したものです。これらの沈着物が神経毒を発することで神経細胞が次々に死滅していくのではないかと考えられていますが、神経原線維変化、老人斑、神経細胞脱落(脳萎縮)がどのように関係しながら病気を進行させているのかについてはまだ十分にわかっていません。
ただし、これらアルツハイマー病特有の脳の病変があるからといって必ずしも発症するとは限りません。神経細胞の変性・脱落によって脳のある部位の機能が失われても、他の障害されていない部位の神経細胞がその機能を補うように働くからです。脳に備わっているこの代替的な機能は「代償機能」と呼ばれています。
神経伝達物質*の1つであるアセチルコリンは認知機能に深く関係していると考えられ、アセチルコリン神経系の2つの経路のうち、マイネルト核から大脳皮質に伸びる系は注意力や知的機能に、また、中隔から海馬に伸びる系は記憶や学習に深く関与しているとされています。アルツハイマー病ではこのアセチルコリン神経系の働きが低下していることがわかっています。
また、神経伝達物質は細胞膜に存在する受容体に結合して情報の伝達が行われますが、アセチルコリンの受容体には、ニコチン性受容体とムスカリン性受容体の2つがあります。アルツハイマー病などの変性性認知症ではニコチン性受容体が重要な役割を果たしていることが示唆されており、ニコチン性受容体機能が障害されているためにアセチルコリンの産生が低下して、認知機能の低下などの症状発現に関与しているものと考えられています。また、ニコチン性受容体は認知機能のほかに、神経細胞の生存・維持機構にも関与している可能性が指摘されています。
血管性認知症の原因は言うまでもなく脳血管障害ですが、脳血管障害は脳の血管が破裂し出血するために起こる出血性脳血管障害と、脳梗塞など血管が詰まって血流が低下・停滞するために起こる虚血性血管障害の2つに大別されます。いずれも脳の傷害部位に血液が供給されないために神経細胞が壊死して認知症が引き起こされます。
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