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高度なアルツハイマー病の病変がみられた修道女はなぜ認知症を発症しなかったのでしょうか。これを解くカギは、脳に本来備わっている「代償機能」と呼ばれるメカニズムにあると考えられています。例えば、脳梗塞などで言語中枢がダメージを受けて話すことができなくなっても、言語療法などのリハビリテーションを行うことで改善されることがありますが、これは本来、言語機能を司っていない神経細胞が代替的に言葉を司る役割を果たすようになるからです。アルツハイマー病の病変があるにもかかわらず、認知症を発症しなかったのはおそらくこれと同じことが脳の中で起こっていたと考えられます。
認知症を早期に発見し、薬物療法や心理社会的療法を早期に開始することの重要性はここにあります。薬によって症状を抑え、脳の代償機能が働くように心理社会的療法を積極的に行うことで認知症の進行を遅らせることは十分に可能なのです。このことはアルツハイマー病だけに限らず、血管性認知症などすべての認知症について言えることです。
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